私が経験した感覚過敏

ペンネーム:もりん

 私の中に「感覚過敏」という概念はありませんでした。理由は簡単です。感覚の違いをはかる材料を私は知りません。また、他の人になってその人の感覚を知ることもできません。すなわち、私は平均的な感覚を知りません。

 私が今回書くのは感覚過敏とはちょっと違った話ですが、私が中学生のころ、クラスが少し荒れていた頃の話です。クラスで自習や総合学習の時間にクラスがうるさくなると、隣のクラスの先生がよく怒りに来ます。最初は穏やかだったと思いますが、それでも収まらなかったので、先生が怒鳴りにきます。すると、私は自分が当事者ではなかったのにもかかわらず、「ちょっと気を逸らしたせいで怒鳴られたのか」と思いました。またある日、同じようなシチュエーションで同じ先生が怒鳴りに来たのですが、この時私は、徹底的に自習に集中していたのにもかかわらず、クラスで怒鳴られました。自分が自習に集中していた最中のことだったので、私は相当な恐怖に襲われました。それ以降、トラウマのようにそのことがよみがえり、徹底的にそのシチュエーションを作らせないようにその時うるさいクラスメートを注意したりしていました。しかし、効果がなく、その後も定期的ではないにせよ、怒鳴られ続けました。正直、今でもよみがえり、怖い思いをしています。時折、机をたたいたりするシーンがよみがえると、自分も恐怖のあまり、身構えてしまいます。

 当時、私はいつ先生が怒鳴りに来るのかほぼ毎日怯えていました。自分が当事者ならまだしも、自分が当事者でないのに怒られるなんて耐えがたいことでした。当時、私の通っていた中学校では先生方が疲弊しており、先生方も無意識のうちにストレスを生徒たちにぶつけてしまっていました。そういったこともあり、私は特定の先生に怒られることに関して異常なまでに過敏になっていたのです。また、当時は知らなかったのですが、発達障がいの特性を隠すのに必死でした。こうして毎日、必死に中学校生活を過ごしていました。

 当時の私はHSP(Highly Sensitive Person、非常に感受性が強く敏感な気質もった人)やHSC(Highly Sensitive Child、非常に敏感な子)、感覚過敏のことは知りませんでした。それどころか、自分が発達障がいの当事者だと思っていませんでした。もし、自分にこのような特性があるということがわかっていたら、担任の先生に相談することができたかもしれません。周囲に打ち明けられたかもしれません。当時に戻ることはできませんが、私のこういった経験が何かの役に立てば幸いです。

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