ADHDって最近よく聞くけど、そもそも何なの?発達障害って子供がなるイメージだけど、大人もなるの?という素朴な疑問をお持ちの方に、まず手に取ってほしい一冊です。
ADHDとはAttention Deficit Hyperactivity disorder の略称です。日本語にすると「注意欠如多動症」となり、発達障害の主なタイプのうちの1つとされています。本書では、ADHDの歴史から、症状、当事者の方の具体的なエピソードなどを通じて、この疾患の基礎的な知識を得ることができます。また、本の後半部分では、他の精神疾患との併存について、同じ発達障害のタイプの1つであるASD(自閉スペクトラム症)との関係、国際的な診断基準(DSM)に基づく診断方法、薬物治療やその他の心理療法による治療方法など、より詳しくADHDについて知ることができます。
「大人のADHD」と言っても、大人になってから症状が突然現れるのではなく、就労してから業務上の細かいミスや、周囲とのズレが明らかになることにより症状が目立ってきた結果、専門外来へ受診をする人が多いのだそう。現在、成人の約1/30がADHDと診断されているそうです。だいたい1クラスに1人の割合ですよね。同じ職場にいてもおかしくありません。「同じ職場の○○さん、ちょっとケアレスミスが多いなぁ」とか「何かちょっと違うんだよなぁ」と感じたことがあるのなら、その方自身も、もしかしたら周りと自分が違うことに気付いて悩んでいるかもしれません。また、すでに発達障害と診断されている人が職場にいるけど、実際どのような症状や特徴を理解しておくべきなのか分からない方もいるのではないでしょうか。そのようなときに、この本で得られる知識や理解が、何らかのアクションを起こすきっかけとなればいいなと思っています。周囲の人々の理解が進むことで、障害を持っている人も持っていない人も、のびのびと働くことができる職場が、これからも増えていってほしいと願っています。